i know there's an answer

実際のところ、そいつはあったのだろうかと、そのことさえ疑う。
不在のビーチボーイズ、ブライアン・ウィルソン。
ペット・サウンド収録曲。
「i know there's an answer」

あったのかとさえ、疑う。
ビートルズに強迫観念を抱き、不在のビーチボーイズだった、ブライアン・ウィルソン。
他のメンバーは彼抜きでライブ公演を重ねていたというのに、彼は創作に没入し続けた。
恐らくは厳重に鍵の掛かったレコーディング・ルームにて、彼はひとり見つけた。
定冠詞「The」ではなく、未明たる不定冠詞「an」を接頭とする、そんな「answer」。

「an answer」ならば、知り得るのかもしれない。
「the answer」を知り得なくても、「an answer」を見つけられたのなら?

それでもいい。
それでも、ひとというものの希望には足る。

「an answer」
その実は孤独者の祈りというものの結晶物ではないだろうかと想う。









album 「PET SOUNDS / THE BEACH BOYS (1966)