鬱蒼とした茂みの隙間から、東京新都心のビルディングが覗ける、

元大名屋敷をそのままに残し、庭は豊かに広がる、

木立の隙間に鳥、水辺の鳥、

目黒自然博物館ほど不思議な散歩道はなくて、

ぼくは女の子と歩く、

帰りには近くの喫茶店でケーキをつつくつもりで、

秋と冬は寂しげなひかりが、道々を照らす、

心細げな陽のひかりだから、

このひかりこそを大切に思わなくてはいけないって、

通りがかりのまだ歳若い夫婦、ふたりの会話、

雪景色が綺麗だろうね、

それでもぼくは五月で、

凶暴なひかりを浴びたくて、

柔らかい髪の毛がひかり輝いている、

乱反射するひかり、ひとつぶ、ひとつぶのかけらが素敵で、

ぼくは女の子と歩く、

あなたとふたりいられて、ぼくは幸せだと思う、

めまいのする散歩。